PETとは「陽電子放射断層撮影」のことで、X線やCTと同じく放射線を用います。しかし、体の外側から放射線を透過して得た情報を「影絵」の原理で写真化するX線やCTとは仕組みが異なります。PETは体内の代謝活動を放射性薬剤を用いて、映し出すものです。
具体的には、代謝物質のブドウ糖と放射線を発する放射性同位元素を結合した薬剤を受診者に注射し、薬剤が体内に行き渡ったところで撮影します。すると、ブドウ糖を多く消費する脳、心臓、筋肉などには放射性薬剤がたくさん集まり、そこから出た放射線が写真に映るという仕組みです。悪性腫瘍も増殖が速く、多くのブドウ糖を消費しているため、放射性薬剤がたくさん集まり、映し出されます。このようにして悪性腫瘍の存在の有無が診断できますが、臓器の「形態」を映し出すことは、CTの仕事になります。
PET検査は、臓器の形態を精密に映し出すことが苦手です。そこで、PET画像にCT画像を重ね合わせることが出来れば、病巣の位置がより正確に診断できるようになります。このような画像を融合画像といい、正確な融合画像が得られるようにPETとCTを一体型にした装置をPET/CTと呼びます。
がん細胞は15ミリを超えると急激に増殖をはじめ、転移の危険性も高くなるため、いかに小さなうちに見つけるかが重要になります。 今までのがん検診では一般的に15ミリ程度のものしか発見できませんでしたが、PET検査では10ミリ以下の小さなものまで発見することが可能です。がん細胞が取り込むブドウ糖を画像で見るため、従来のCT検査やMRI検査、超音波検査では見つける事が困難であった場所のがんを見つけることができます。